THE X-CHAPTERS / Xチャプター

米国から本の話題をお届け

洋書

スティーブン・キングの最新長編、超能力を持つ子供たちの戦いを描いたサスペンス・スリラー『The Institute』(by Stephen King)

スティーヴン・キング『The Institute』米国版表紙 「なあ、ジェイミソン、自分が生きてると思ってる人生ってのは現実じゃないんだ。影絵の劇でしかないんだよ。俺ってやつは、そこでライトが消えると喜ぶやつさ。暗闇じゃ、影は全部消えるからな。」 “You k…

『New Kid』がグラフィック・ノベルで初のニューベリー賞の大賞を受賞!おめでとう!!

先週、2020年のニューベリー賞とコルデコット賞の発表がありました。2020年のニューベリー賞とコルデコット賞大賞受賞作 2005年のニューベリー賞大賞受賞作『きらきら』を取り上げた記事の中でもニューベリー賞に関しては簡単に触れましたが、もう一度さらっ…

冬に読みたい良作ミステリ、謎解きより主人公の人生の行く末が気になる『The Life We Bury(邦題:償いの雪が降る)』(by Allen Eskens)

『The Life We Bury』米国版のカバー なんじゃこの日本語版の題名はー!! 『償いの雪が降る』・・・、演歌かい!! ほんと、よくこんなポエムなタイトル思いつくもんだなあと半ば苦笑しつつ感心してしまいました。じゃあもっといい邦題あるのかと言われたら、…

スティーブン・キングの自伝+小説教本 クドい!でもそこがいい『書くことについて』(スティーヴン・キング)

英語版『On Writing』より 本書のなかで、私はいかにして「書くことについて」の技と術に通じるようになったか、いま何を知っているのか、どうやって知ったのかを、できるだけ簡潔に語ろうと思っている。 (『書くことについて』前書きより) What follows i…

オバマさんもおすすめ、現代の若い世代の恋愛を丁寧に見つめた小説『Normal People』(by Sally Rooney)

I don’t know what’s wrong with me, says Marianne. I don’t know why I can’t be like normal people. (snip) I don’t know why I can’t make people love me. I think there was something wrong with me when I was born. (from Normal People by Sally …

アメリカの小説家/元出版エージェントによる小説の書き方ガイド『How to Write a Novel』(by Nathan Bransford) 第三回

『How to Write a Novel』の電子版より 前回に続き、小説の書き方ガイド『How to Write a Novel』に関するエントリ第三回目です。How to Write a Novel: 49 Rules for Writing a Stupendously Awesome Novel That You Will Love Forever作者:Nathan Bransfor…

アメリカの小説家/元出版エージェントによる小説の書き方ガイド『How to Write a Novel』(by Nathan Bransford) 第二回

『How to Write a Novel』の電子版より 前回に続き、小説の書き方ガイド『How to Write a Novel』に関するエントリ第二回目です。How to Write a Novel: 49 Rules for Writing a Stupendously Awesome Novel That You Will Love Forever作者:Nathan Bransfor…

アメリカの小説家/元出版エージェントによる小説の書き方ガイド『How to Write a Novel』(by Nathan Bransford) 第一回

一月も気が付けばもうすぐ半ば。あちらこちらのブログで皆さんの実にいろんな新年の抱負を見かけました。しかしどれも意外なほどまともで、「鼻からうどんを食べてギネスに載ります」とかぶっとんだものは皆無。世間の皆さんの良識に安堵すると同時に、「匿…

あの時、別の選択をしていたらもっと良い人生があったのだろうか?『Dark Matter (日本語版題名:ダーク・マター)』(by Blake Crouch)

愛され、待たれながら、毎日家に帰ってくる人たちがいるのはなんという奇跡だろう。 私はいつでもそのありがたさをわかっていると思っていた。しかし、ここで寒さの中で座っていると、それを当たり前と思っていたのが分かる。そういうものだろう? 自分が手…

バラク・オバマ元大統領の2019年お気に入り本リスト

毎年末恒例、オバマさんによるその年のお気に入りの本のリストが発表されました。 全17冊+スポーツファン向けにおまけ2冊。結構私が読んでる本が多くて嬉しかった・・・わけはなく、まったくもって一冊も知りません! タイトルと著者名を見てもなんのこっちゃ…

2019年にバズって大ベストセラーになったサイコサスペンスは、愛と復讐の美しい物語『The Silent Patient(日本語版題名:サイコセラピスト)』(by Alex Michaelides)

Her silence was like a mirror—reflecting yourself back at you. And it was often an ugly sight. 彼女の沈黙は、あなた自身をあなたに向けて映し返す鏡のようだった。そしてそれは、しばしば醜い姿だった。 『The Silent Patient』アメリカ版の表紙、英…

読むこと、書くこと、言葉の力を真剣に訴える大ヒット小説『The Book Thief(日本語版題名:本泥棒)』(by Markus Zusak)

2005年刊行のオーストラリアのYA作家マーカス・ズザックによる小説。63か国で出版されて累計1600万部のベストセラーとなり、2013年にはジェフリー・ラッシュ、エミリー・ワトソンなどで映画化されています。英語圏の小説は読者人口が多いので、当たるとデカ…

25歳のタフな美人探偵ジェシカ・ショウ登場『Thin Air (Jessica Shaw Book 1)』(by Lisa Gray)

2019年6月刊行、これがデビュー小説となるスコットランドのサッカー記者、リサ・グレイによるミステリー小説。2019年12月前半、私が読んでいた時点ではアメリカのアマゾンの私立探偵ミステリ小説部門売り上げ第一位でした。ジェシカ・ショウシリーズ第一作『…

日本のお父さんお母さんたち、もうプレゼントを子供の枕元に置かなくていいんだよ?『さむがりやのサンタ』『サンタクロースっているんですか?』『The Polar Express』

今週のお題「クリスマス」 ============================ アメリカで暮らすようになってから、やはりアメリカにおける「クリスマス」という行事の存在のデカさ、金のかかり方、そして日本との祝い方の違いに少なからずショックを受けました。 恋人同士がラブ…

日系俳優ジョージ・タケイの日本人強制収容所での体験がグラフィックノベルに『They Called Us Enemy』(by George Takei, Justin Eisinger, Steven Scott)

ジョージ・タケイさんは、TVドラマ『スター・トレック』のヒカル・スールー役で一躍有名になった日系アメリカ人俳優で、アジア系俳優で初めて大きな成功を収めたと言っていい方だと思います。

書店と本へのあふれる愛、アメリカ文学ガイドのような大人のおとぎ話『The Storied Life of A. J. Fikry (書店主フィクリーのものがたり)』(by Gabrielle Zevin)

“A town isn’t a town without a bookstore.” 「本屋の無い街なんて街じゃない」 (from Page 259, The Storied Life of A. J. Fikry) "Bookstores attract the right kind of folk. Good people like A.J. and Amelia." 「本屋ってのは、ちゃんとした奴らを…

スティーブン・キングのなんとも不思議な中編小説、オーディオブックは御大自らの朗読『Elevation』(by Stephen King)

スティーブン・キングによる2018年秋刊行のホラーテイスト無しの怖くない中編小説です。

ジョー・ライト監督で映画版が公開決定の心理サスペンス小説、作者のスキャンダルの方が怖い『The Woman in the Window (日本語版:ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ)』(by A. J Finn)

主演エイミー・アダムス、共演はジュリアン・ムーア、ゲイリー・オールドマン、とAリスト・セレブリティを揃えて2020年5月にアメリカで映画公開決定。業界の期待の大きさが窺えます。『ゴーン・ガール』とか『ガール・オン・ザ・トレイン』など、いずれもそ…

生きる意味を失った元大リーガーの100歳の老人が、難病の少年にそれを見出す・・・アメリカ版重松清?『The Five Wishes of Mr. Murray McBride』(by Joe Siple)

The Five Wishes of Mr. Murray McBride (English Edition)作者:Joe Siple出版社/メーカー: Black Rose Writing発売日: 2018/05/17メディア: Kindle版 余命わずかな少年、野球、Bucket List(死ぬまでにやりたいことリスト)、何十年も連れ添った妻に先立た…

ほんとにもう日本でブラックフライデーとかやめよう『Kira-Kira(日本語版題名:きらきら)』(by Cynthia Kadohata)

今日からサンクス・ギビング・デー休暇。明日木曜のサンクス・ギビング・デー当日には小売店はほぼ全店休業となるから、牛乳とか卵とか切らさないように買っておかなくちゃいけない。感謝祭明けの金曜になってから買えることは買えるけど、金曜はできればい…

かつて大人の都合で都会から田舎へと大量に輸送され、配布された孤児たちがいた。アメリカ版「おしん」みたい『Orphan Train』(by Christina Baker Kline)

列車で中西部へと送られた子供たち——彼らは皆、ニューヨークの街の通りからごみやがらくたのように集められたのだ。できるだけ遠く、目につかぬところに送り出すために。 All those children sent on trains to the Midwest—collected off the streets of Ne…

人生相談本シリーズその2 アメリカのネット世代のお悩み相談『Tiny Beautiful Things: Advice on Love and Life from Dear Sugar』(by Cheryl Strayed))

「敬虔なクリスチャンの両親が同性愛を認めてくれない」 「彼氏が私のパンティをはいて鏡の前にいるところに鉢合わせしたのに、彼はその後それについて何も話そうとしない」 「私の性的なファンタジーは異常ですか?」 「生まれつきの病気のせいで外見が醜く…

冤罪で18歳から21年間服役! 悪夢のような実話『Crown Heights』(by Colin Warner, Carl King, Holly Lorincz)

少し前のことですが、私の住んでいる街でポルトガル系のロドリゲスさんという男性が性的暴行事件の犯人として逮捕され、真犯人のメキシコ人が逮捕されるまでの11日間拘留されるという出来事がありました。韓国人・中国人・日本人が当人以外には全部同じなの…

我らが安藤百福さんが英語絵本に! ヘンな日本が出てこなくて安堵『Magic Ramen』(Andrea Wang,Kana Urbanowicz)

以前、以下の記事で、私の安藤百福さんへの深い尊敬を熱く語ったことがありました。 hyakunennokodoku.hatenablog.com いや、ほんと、安藤百福さんとか水洗トイレの発明者(S字パイプはこの人、タンクの浮きはこの人)とかは、もっともっと評価されるべきだ…

ディストピア小説を通り越してもはやホラー? 現実味を帯びているだけに怖過ぎる『The Handmaid's Tale(日本語版題名:侍女の物語)』by Margaret Atwood

そう遠くない未来、現代のアメリカの特定地域(多分ボストン周辺)は、キリスト教原理主義者のようなセクトの制圧地域となってしまった。そこで繰り広げられるおぞましいドラマが、ある一人の女性(Handmaid=侍女)の語りでつづられてゆく。カナダの大御所女…

孤立無援の犯罪被害者が真犯人と戦う心理サスペンス、オーディオブックが素晴らしい『The Girl Who Lived』(Christopher Greyson)

四人が殺害された凄惨な殺人事件で現場から一人逃げ出すことに成功し生き延びた少女フェイス。彼女はその後10年の時を経ても事件から立ち直ることができない。アルコールや喫煙に依存し、自殺願望や他害衝動があると診断されて精神科の施設への入退院を繰…

精神科病院の閉鎖病棟が舞台の二冊:『The Key』(by Kathryn Hughes )と『Asylum: Inside the Closed World of State Mental Hospitals』(Christopher Payne)

1900年代中頃にマンチェスターにあったアンバーゲイト精神病院は、現在は廃墟と化していた。かつてその病院の関係者だった人間を身内に持つ者として、サラは病院の歴史を本にして後世に残すべく、廃墟が足しげく取材に通う。そして、元患者の物と思われるス…

トイ・ストーリー4公開記念! 『To Pixar And Beyond』by Lawrence Levy (日本語版題名:PIXAR <ピクサー> 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話)

ピクサー社の元CFO、ローレンス・レヴィ氏による回顧録。著者は、『トイ・ストーリー』の第一作が公開される一年前から、ディズニーがピクサー社を買収する時期まで、ピクサーのCFOや取締役だった。To Pixar and Beyond: My Unlikely Journey with Steve Job…

Miss Peregrine's Home for Peculiar Children by Ransom Riggs (日本語版題名『ハヤブサが守る家』『ミス・ペレグリンと奇妙な子供たち』)

ジェイコブは、フロリダに住む孤独な15歳の少年。ある日、敬愛する祖父が凄惨な死を遂げる。その間際に目にした奇怪な生物、自分に向けられた祖父の最期の言葉の意味は何だったのか? ジェイコブは、その謎を追ってウェールズの孤島へと旅立つ。そこで彼に起…

New Kid by Jerry Craft (2)~黒人の肌の色は絵本や漫画で褐色にして問題無いのか?についてと、自己の偏見に対する猛省

先日、『New Kid』というアメリカの中学生くらいの子向けのグラフィック・ノベル(マンガとは少し違う)についての感想をこのブログに載せました。 hyakunennokodoku.hatenablog.com 素晴らしい作品なのですが、この記事の中で私は、本の表紙に対して「主人…