THE X-CHAPTERS / Xチャプター

米国から本の話題をお届け

Sunny Side Up / Swing It, Sunny by Jennifer L. Holm (Author), Matthew Holm (Illustrator)

Sunny Side Up / Swing It, Sunny

Sunny Side Up / Swing It, Sunny

 

  渡米当初、私は「Graphic Novel」は日本で言う「マンガ」だと思っていたのだけど、何冊か読んでみてその認識は少し違うと思った。「Comic」が「マンガ」のような位置づけで、「Graphic Novel」は、文字通り、絵で表現された「小説」。

  なので、小学生向けのGraphic Novelでも、非常にまじめな、子供に敬遠されがちなテーマだったりすることも多い。この連作も、これが普通の小説として売り出されていたら、ここまで多くの子供たちが手に取ることすらなかっただろうと思われる内容。Graphic Novelとして出した意義を感じる。私のような英語が堪能で無い者も、Graphic Novelだったからこそ、手に取った。

 恋愛も、剣も、魔法も、出て来ない。日本だと小学校4~5年生くらいのサニーという女の子のひと夏の日々が一作目、夏が終わりMiddle Schoolに上がったサニーの秋の日々が2作目である。しかも、舞台となっているのは、1970年代のアメリカ。携帯電話も、ビデオゲームも出てこない。(が、50歳以上の退職者が暮らすRetirement livingが既に存在するのが興味深い) 絵も、マンガを読みなれた日本人の私からすると、こんな素人くさい絵でいいのかというレベルで、二作とも最初の10ページくらいまで読むのが苦痛だった。でも、そこを越えると、いつの間にかこのサニーと言う少女の心の痛み、日常の小さな喜びやとまどいを、寄り添い見守らずにはいられない気持ちになる。サニーや、サニーの祖父が好きになってしまう。バービー人形やPet Rockと言った小道具の存在感も良い。一作目の終わり方も好きだったが、二作目のエンディングでは思わずにっこりしてしまった。

 それにしても、昨年「フロリダで日本人女性が散歩中にワニに食べられて亡くなった」と言うニュースを読み、信じられない気持ちだったけれど、これを読む限り、フロリダって本当にそこらへんにワニがうようよいそう。もう、ミッキーマウスになんとかしてもらうしかない。

 二作とも、読み通すと、良い映画を観た後の感覚と、良い小説を読み終わったあとの満足感が残る。なんとも言えないさわやかで暖かい読後感を味わえる作品。