THE X-CHAPTERS / Xチャプター

米国から本の話題をお届け

The Outsider By Stephen King

 

The Outsider: A Novel

The Outsider: A Novel

 

 I had a friend. Time has passed, and time probably did heal all wounds, but God, some of them healed so slowly. And difference between I have and I had was such a gulf.

 

 “I think it was someone else. I think it was an outsider.”

  皆さん!!聞いて下さい!! この本は、「ミスター・メルセデス」などのビル・ホッジズ3部作のスピン・オフです!! そっちをこれから読もうという方はこの本を読んではいけません。 

  ちょうど半分くらいのところで、突如、ホッジズの相棒ホリーが登場してくるのですが、「ああ、ビルがいてくれたら・・・私たちは、あんな事件をこうやってああやって解決して〇〇人の命を救ったんだっけ」みたいな感じで、何か所かで見事にネタバレをやらかします。 大人気のビル・ホッジズのシリーズを図書館で順番待ちの私は、心の中でギャッと叫んでその部分は読み飛ばすよう努力したのですが、目に入ったものは取り除けず・・・まったくどうしてくれる! 英語でネタバレのことをSpoiler(Spoil=台無しにする)って言うけれど、本当にそんな感じです。これからビル・ホッジズ物を読む楽しみをSpoilされてしまった。 この本に関しても、なるべく予備知識無しで読みたいと思って、本のあらすじ紹介などもあまり読まないようにしていたのですが、それが悪かったのか。一気に、ビル・ホッジズのシリーズを読む気が無く失せました。

 本書は、英語の電子版で読んだので、本の厚さ等を実感することなく読み始めたわけですが、読んでも読んでも終わらず、「キング・・・相変わらず長いなー」と苦笑しました。 私の貧弱な英語力ゆえか、と思ったけれど、Amazon.comのレビューでも「読むのに時間がかかった」と書いている人が多かったので、やっぱり無駄に長いんでしょうな。最近、キング作品は冗長さが無くなったと評判みたいなんですけどね。 しかし、キングから冗長さをとったら、何が残るというのか。キングじゃなくなっちゃう。

 冒頭は、キング作品によくあるスタイルで、新聞記事とか事情聴取の内容だけを列挙するだけで事の成り行きを説明しテンポ良く始まります。凄惨な事件の概要に一気に引き込まれMaitland憎し!となるのですが、そこから二転三転の意外な展開が続き、前半は本当に面白い。 まあ、いつものキングです。 つかみが抜群にうまい。いつもつかまれてしまって、気が付いたら離れられず、ながーい時間をかけて最後まで読んでしまうわけです。

 そして、後半だれてくるのもいつものキング。ホリーが出てきて、謎解きをやってくれるのだけど、私はその辺から読むペースが一気に落ちました。これもやはりビル・ホッジズ三部作を先に読んでいないせい? ホリーの魅力がイメージしづらい。ビル・ホッジズの話がそこかしこに出てくるのだけど、知らん私からすると興味もわかない。謎解きの内容、要するにヤツの正体も、これまたいつものキング。 恐怖をあおるだけあおって、その正体は、なんだかよくわからん生物、みたいな。 通常営業です。「虫」も出てきます。多いですよね、虫。

 まあ、いつものキングでした。読まなきゃよかったとは思わないけれど、ビル・ホッジズ三部作を犠牲にしてまで読む価値があったかは疑問。でも、歳を重ねても多作で精力的に書きに書きまくっているキングは、やっぱり私のヒーローの一人です。