THE X-CHAPTERS / Xチャプター

米国から本の話題をお届け

The Girl on the Train By Paula Hawkins

 見て下さい、この画像を! 2019年5月8日現在のAmazon.comの本作のページです。

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Amazon.comのThe Girl on the Trainのページ。すごいレビューの数!!

レビューが58,235って!! 私は、これより多いレビュー数の本を観たことがありません。ハリー・ポッターの第一作だって、こうですよ↓

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 出版年は、ハリポタの方が断然前なのに。

  ポーラ・ホーキンズさんは、デビュー作のこの作品でたった二年の間にハリポタの倍以上のレビューを集めたというわけです。

 これはもう読む前から期待が膨らみます。

 この小説には、人にレビューを書かせたくなる何かがあるに違いない。心理スリラーとかミステリに属する作品だから、賛否両論あるような斬新なトリックがあるのか? すごく怖いのか? びっくり大どんでん返しなのか!?今までに無いようなドラマがあるのか? 本好きとして、おさえとかなくちゃ!

 そして、図書館からタダで借りた電子版を読み始めました。 

 アメリカの作家の小説だと思ってましたが、イギリス人作家によるロンドンに電車通勤する女性の話なんですね。日本ほどじゃないにしろ、イギリスも鉄道大国ですもんね。そして主人公女性は、Girlと言っても「少女」と言うにはちと無理がある年齢。英語圏においては、中年女性でも”Girl”に押し込まれていて、そのずうずうしさは女の年齢に厳しい日本出身の私には直視できないものがあります。

 そして、読んでも読んでもなんだかなかなか面白くならない。始まった瞬間から終わりまで、読者になんの努力も要求せずに楽しませてくれる東野圭吾先生の偉大さをふと思ったりする。あともう少し読めば面白くなるはず!頑張れ私!と自分を励まして読むしか無い陰鬱さ。暗い人生送ってる暗いヤツらしか出てこない。なんだ、私と同類か。雨交じりのロンドンの暗い空のように、暗い気持ちになってきます。

 そのうち、ミステリやスリラーとして、何も新しいところは無いまま終わってしまった・・・。

 なぜ、こんな小説がこんなに売れたんだろう。小説内の謎より、そっちのミステリーが気になる。マーケティングがよかったんだろうか。オプラ・ウィンフリーが絶賛したとか? レビューを買い集めたとか? この作家さんも、困惑してるんじゃないかなあ、こんなのがこんなに売れて。 時間のある時に、この小説のブレイクのきっかけなどを探ってみたい。

 でも私は、この小説は嫌いではありません。うまく生きられない人々、心の弱い人々の孤独な姿に、したくないんだけど共感せずにはいられなかった。ここまで極端ではないにしろ、何かきっかけがあったら、私だってこの主人公のようになってしまうかもしれない。作者は、ミステリやスリラーというより、そういった人々の物語を書きたかったのかなと思う。世の中には、誰かが手をつないでいる手を離したら、あとは沈んでいくだけで自分の力を振り絞って浮かび上がることができない人たちがいる。 この主人公ほど、孤独な女性もなかなかいません。 彼女以外の登場人物も、健全な毎日を送っている人たちから見るとイライラするでしょうね。 でも作者は、どちらかと言うと批判ではなく共感を込めて書いている。 弱い人に心を寄せるやさしい人なのかも。 まあ、男性の描写に関しては、なんか男に恨みでもあんのかと感じなくもないけれど。 

 私が唯一、謎解き部分で気になったのは、精神科医やセラピストの守秘義務です。 以下のようなケースではどうするのがベストなんでしょうね。 

 患者が、行方不明人として捜査対象となり大規模捜索にも関わらず見つからない。もしかしたら、命に係わるような危険な状況にいるかもしれない。そして、自分はその人の行方を捜す手掛かりになるかもしれない重要な秘密を診察あるいはセッションで打ち明けられている。それを警察に言えば、彼女は危機的状況から逃れられるかもしれない。でも、元気に帰ってきちゃった時には、患者がどうしても隠し通したかった秘密を暴露したことになってしまう。患者の人生は、その暴露により元通りにはならないだろう。 

 お医者さんやセラピストは、もしこんな板挟みになったらどのようにするのでしょうか。明確なガイドラインがあるんでしょうか。あの教会で罪を犯した人の懺悔を聞く方とかも、こういう板挟みがありそうですよね。 本当に大変なお仕事です。

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