"I like how you look. You're deadly smart. You're brave. And even though you found out Marcus..." His voice softens. "You aren't giving me that look. Like I'm a kicked puppy or something."
Divergent (Divergent Trilogy, Book1) Chapter Twenty-six
『アメリカのアマゾンで最多レビュー数の小説』という記事内で宣言した通り、歴代レビュー数ランキング20位内の本を制覇するべく頑張っています。
hyakunennokodoku.hatenablog.com
ということで、現在総レビュー数第5位のヴェロニカ・ロスの「ダイバージェント」を読みました。

Divergent (Divergent, Book 1) (Divergent Trilogy) (English Edition)
- 作者:Veronica Roth
- 出版社/メーカー: HarperCollinsChildren’sBooks
- 発売日: 2011/05/03
- メディア: Kindle版
Amazon.comだとプライム・メンバーは、タダで電子版をダウンロードできるのが嬉しい。太っ腹! 「これをタダにしたら、シリーズ2作目、3作目にお金出すだろう?続きが気になるだろう?」という戦略なんでしょうが、そうは問屋が卸さない(死語)。2作目と3作目は、図書館から電子版借りてタダで読みます。ごめんなさい。
肝心の小説ですが・・・長い! 英語はそれほど難しくないと思うんですけど、読了までに結構な時間を費やしました。電子本は幸か不幸か読む前にボリュームが体感できないので、図書館で実際の書籍を見た時は、こんなに厚かったのかと驚いた。 電子版でよかったかも。最初にあの厚さを見たら、きっと戦意喪失していたことでしょう。
すべての洋書、特に近未来のディストピアものに言えることですが、この本も例に漏れず最初の50ページから100ページくらいがつらい。つまり、どういう世界なのかその設定を把握して、その世界を表す用語、地名、登場人物の名前が頭で整理されてくるまでが、修行のよう。しかし、そこからは一気に読める。
内容は、『ハンガー・ゲーム』の近未来設定とアクション、『トワイライト』のロマンス部分を混ぜた感じ。つまり、YAノベルの売れるところを全部押さえたような本で、売れるのもよくわかる。結構、凄惨な暴力描写も出てきますが、完全に女の子小説です。男子は読めない恥ずかしい内容なのではないでしょうか。
一応、不毛な争いに巻き込まれたり、理不尽な近未来の社会で戦ったりもするんだけど、若者同士が生き残りをかけてゲームのように競って争うあたりが『ハンガー・ゲーム』と同じだし、まんまリアリティTVというか、今どきの読者の好みなんだろうなあと思いました。
年上の強くて頭も良くて責任感のあるイケメンが、地味で平凡な容姿の主人公の内面のすばらしさを理解して熱烈に愛してくれる、という女の子が憧れそうなベッタベタな少女マンガ設定。 この辺は、『トワイライト』してます。 なぜ私なの?みたいな。はずかしー。 本当に、壁ドンのシーンがあるんですよ!! 活字で壁ドンです!! 国境越えて、壁ドンです!! アメリカでも、やっぱ女の子はイケメンに壁ドンされてドキドキしたいのか。
そして、結構緊迫した状況でも主人公たちはいちゃいちゃしまくります。 「二人の絡みは、20ページに一回は入れて下さいね、あ、でも一線は越えちゃだめですよ、YAノベルとして出版できなくなりますから!!」という編集者のリクエストが聞こえてきそうな正確ないちゃいちゃの頻度といちゃいちゃの内容。 これでもか、これでもかー!といちゃいちゃ描写がエロ小説のように詳細に綴られる。でも、寸止めなんですよ。あんなことやそんなことはもう少し先になってからにしようね~みたいな会話までして。 この辺がジョン・グリーンとかのYA小説と違う。 男性には、こんな恥ずかしいのは書けないですよね。
それにしても、3巻まであるんだから、そんなに早くくっついちゃだめでしょ。ひっぱらないと。この調子で3巻までいちゃいちゃすんのか。書いてるほうもつらかろう。Sexual tentsionってやつが足りない。 日本の少女マンガだったら10巻くらいまで引っ張るとこだぞー!!
エンディングが唐突で、本当に本の途中でぶったぎったような終わりなので、2巻の『Insurgent』と3巻の『Allegent』も読むと思います。 でも、近未来の設定がいまいち、説得力が無いと言うか。いや、どんなに荒廃してもこんな感じで役割ごとに社会を区切ったりしないでしょ、といまいち納得いかない。 世の中には、GeneralistとSpecialistがいるわけで、Generalistは行くとこ無くなっちゃうじゃないですか。芸術家とかは要らないの?
シカゴに行ったことがある人、シカゴが好きな人は、あー、あれのことね、と、ちょっとにやにやできるシーンがあります。 ディストピアものの優れたSFが読みたいという人にはおすすめしませんが、少女マンガみたいなロマンスにひたりながらちょっとスリルも欲しい、という読者にぴったりな本です。