THE X-CHAPTERS / Xチャプター

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Allegiant (Divergent Trilogy, Book 3) by Veronica Roth

 人々を性格や適性によって特定の集団に分けて管理する近未来社会と、その混乱を描いたSF小説三部作の完結編。日本語版の題名は、「ダイバージェント3 忠誠者」。

Allegiant (Divergent, Book 3) (Divergent Trilogy) (English Edition)

Allegiant (Divergent, Book 3) (Divergent Trilogy) (English Edition)

  • 作者:Veronica Roth
  • 出版社/メーカー: HarperCollinsChildren’sBooks
  • 発売日: 2013/10/22
  • メディア: Kindle版

I don’t belong to Abnegation, or Dauntless, or even the Divergent. I don’t belong to the bureau or the experiment or the fringe. I belong to the people I love, and they belong to me - they, and the love and loyalty I give them, form my identity far more than any word or group ever could.

Allegiant (Divergent Trilogy, Book 3) by Veronica Roth

この文章は、主人公のトリスが物語の終盤で自分と言う人間と集団との関係に思いを馳せる部分からの抜粋です。
「私はどこにも属さない。私は、私が愛する人々の一部であり、彼らも私の一部なのだ。私という人間を作り上げたのは、属したグループや遺伝子や体制ではなく、愛する人々と彼らへの愛と絆である。」・・・みたいなことを言ってますね。橘玲さん安藤寿康さんは「違うだろ」って言いそうですけど。まあ、YAノベルですから。「遺伝子で全部決まるんだって」とか言ったら出版できませんよね。
 しかし、長い長い。ただでさえ英語読むの遅いので、この三部作にかなりの時間を費やしてしまった。特にこの第三部は中だるみもやはりあり読むのがしんどかった。「これって、こんなに時間かけて読む価値ある小説なんだろうか、これを読む時間でほかの本、何冊も読めたんじゃないの」という気持ちが何度も湧きました。しかし、ここまで頑張ったんだから挫折はできない、その義務感で読んでいくと・・・あらびっくりそうなるの!?な展開。 後半は読みごたえがあるので、読み通そうかやめようか迷っている人は頑張って読んでもいいかと思います。ちょっと予想と違いました。
 この第三部から、今までトリスの一人称での語りで進んできたのが、突如章ごとにトリスとフォーの一人称が交替で出てくるスタイルになります。なんで?と思ったけど、後半このスタイルが活かされていく。フォーが自分の母親と交渉する場面とか、トリスが・・・うーん、これ以上は書けない。
 近未来設定や陰謀論は、穴だらけ後付けだらけなんだけど、主人公の気持ちの変化や葛藤はあまり手抜きせずに書かれていて、読後はかっこいいヒロインが強烈に残った。主人公の運命を全部知ってから振り返ると、なかなかいい三部作だったようにも思える不思議な小説でした。