THE X-CHAPTERS / Xチャプター

米国から本の話題をお届け

The Maze Runner (The Maze Runner Series, Book 1) By James Dashner

 この間「ダイバージェント」三部作を読了し、荒廃した近未来はもうお腹いっぱいのはずなのに、またディストピア系SFのYAノベルです。

The Maze Runner (The Maze Runner, Book 1)

The Maze Runner (The Maze Runner, Book 1)

  • 作者:James Dashner
  • 出版社/メーカー: Delacorte Press
  • 発売日: 2009/10/06
  • メディア: Kindle版
 アメリカの若者は、どれだけ未来を悲観してるんでしょうか。ディストピア物が売れる、売れる。
「ハンガー・ゲーム」のスーザン・コリンズさんがデビュー作で大大大ヒットをかましたせいで、雨後の筍状態で若手作家が我も我もと続いてこのジャンルを狙ってしまったのもあるんでしょうね。ハリー・ポッターが大当たりした頃も、書店が少年少女向けファンタジーの平積みだらけだったし。「ハンガー・ゲーム」も「ダイバージェント」もこのシリーズも即映画化されたし、アメリカでの売れ方はすごかったです。
 しかし、どれも、15,16くらいの子供たちが殺し合い自身の生き残りのために血で血を洗う世界にいる、という物語なのがツライしワンパターン。もしかして、それがアメリカのその年頃の子たちのリアルな心情なのか? そんなに学校やら家庭やらが過酷なのか!?

By the end of the day, the Gladers had turned into a small army. A very pathetic, ill-prepared army, Thomas thought, but an army all the same.

The Maze Runner (The Maze Runner Series, Book 1) , Chapter 53

 そして、「3冊全部読まないと一冊だけでは読んだ意味が無い」という所まで同じ。「1冊で一応完結している、でも素晴らしい物語だったから登場人物たちのその後が知りたい」という気持ちで続編を手に取りたいのだけど、ただ単に長い物語を区切りの良いところで三つに分けただけ。 このシリーズは、特にオチをつけるのが難しいんじゃないかな、と一作目から嫌な予感がした。人類を救うためとは言え、どんな大義や目的があっても許されない残酷さ、そしてこんな巨大迷路やら不気味な殺人用生物を作るエネルギーで太陽フレア問題をなんとかできそうな感じがするんですけど。 残りの2冊を読めば、この辺りを納得できるのか。納得できなかった時の「また時間を無駄にしてしまった」という落胆が怖くて、なかなか残りを読む気になれない。この時点で、「なんとしても続きが知りたい」と思った「ハンガー・ゲーム」シリーズより劣っている作品ということになってしまう。
 英語は、比較的平易だと思いますが、この世界でのみ使わる少年たちのスラングのような専門用語を覚えるまでかなりとまどいがある。でも、そこらへんは右も左もわからない主人公と一緒で、主人公とともに徐々に学習でき中盤からは良いペースで読める。
 長いことアメリカに住んでいるのだけど、会話にしょっちゅう出てくる”jack”がわからなくて混乱した。

"None of us knew jack on First Day, you neither."

ここを読んだ時、ジャックって誰だっけ、と読み返したけど分からず。小文字だから人名じゃないのか?ともやもやしていたら、"I don't know jack about ~" みたいな表現が作中に何度も出てきて、そこで初めて「全然わかんねー」みたいな意味のスラングだと気がついた。 ひとつ、勉強になりました。I don't know jack about American slang.