THE X-CHAPTERS / Xチャプター

米国から本の話題をお届け

叙述トリックを使った小説が、頭に来る

 タイトルの通りです。
 読後に「やられた!そうだったのか!」という気持ち良い騙され感ではなく、納得の行かない感だけが残ってなんか頭に来てしまう。たとえ、どんなに精密にトリックが練り上げられていて、内容や文章に破綻が無いとしても。「裏切られた!時間返せ!」と思ってしまうのです。その裏切られる感じが好きで面白いと思う人がいるからこそ、次から次へといろんなトリックが考案されて、作品が発表され続けられているジャンルだとは思うのですが、私は無性に頭に来ます。簡単に騙された自分が、ものすごく頭悪い感じがするせいでしょうかね。
 だったら読まなければいいだけの話なのですが、叙述トリックを使った作品は「この小説は叙述トリックの傑作でーす!」とは絶対に宣伝できない。そう知った瞬間、読者は最初からそのトリックを意識して身構えて読むわけですから、まあ、たいてい途中でわかってしまう。せいぜい「驚愕のラスト!」とかそれくらいしか紹介できませんよね。だから、最後まで読んで、初めて「あーあ、叙述トリックだったのか」となるわけです。 
 〇〇〇 〇〇さんの「〇〇に〇〇〇〇」とか、「読んだこと無いの?ミステリ好きならおさえておかないと」と言われて読んでみましたが、最後にトリックが明かされた途端、なんかもう作者が「なーんちゃって。ちゃんちゃん♪」に言っているような感じがして、壁に本を投げつけたくなりました。「おもしろかった?まったねーえ」と言っている一休さんの無邪気な顔もなぜか脳裏をよぎりました。 叙述トリックの小説の紹介によく「最後まで読んで、またもう一度最初から読みたくなること間違いなし!」みたいに書いてあったりしますが、この小説に関しては二度読みなんて絶対にあり得ません。でも、叙述トリックと言えばこの小説がよく挙げられますよね。
 〇〇 〇〇さんの「ハ〇〇〇」も、叙述トリックの名作と知らずに読み、読み終わった後には「騙された感」しか頭に残らなかった。そう、他には残らない。最初にトリックを考えて、それに合うストーリーを一生懸命くっつけたかのよう。でも、どうやって映像化したのか。叙述トリックは、映像化できないですよね・・・。
 〇 〇〇〇さんの「〇〇〇〇ー〇〇〇•〇〇」、これだけは頭の悪い私でも、「主人公の名字って〇〇だったから・・・なるほど、多分そういうことね」とぴんと来て、それでも最後まで読んでしまったけど、やっぱりそのトリック以外は頭に残らない。人が殺されない話なのが新鮮だったかな。しかし、この小説のレビューを読んでいたら、誰かが「叙述トリックを使った〇〇 〇〇の『〇〇〇〇〇に〇〇〇〇〇〇〇〇〇』と比較すると、会話の不自然さはうんぬんかんぬん~」と、読もうと思って買ってしまったほかの小説のネタバレをしやがった!! 言っちゃダメでしょ!  〇〇 〇〇の「〇〇〇〇〇に〇〇〇〇〇〇〇〇〇」は、どうしてあんなに本屋に平積みになるくらいヒットしたのかなあ、素晴らしい小説なのかなあ、と疑問に思っていたけれど、あっと驚く叙述トリックだったのね・・・。みんな、叙述トリック、どうしてそんなに好きなの?
 筒井康隆大先生の「〇〇〇〇〇〇〇〇〇」は、なぜかトリックがわかった後もそれほど頭に来なかった。筒井康隆の作品としてもミステリ小説としても、評価は低いほうだとは思うのですが、「そうか~道理でところどころ読みづらかったもんなあ」と納得し、そしてトリックよりもトリック以外のドラマの部分が悲しく心に残った。作者に、自分自身の差別意識も見透かされ指摘されているような気がして、胸が苦しくなった。トリック以外の何かが残ったので、あまり頭には来なかったかな。 筒井康隆すごいなあ。なんとなく、「私はミステリも書けるんですよ、まっ、こんなもんかな」と楽々書いていそうなお姿が目に浮かびます。
 そもそも、初めて叙述トリックの小説を読んだのが小学生の時で、アガサ・クリスティの例の有名なヤツでした。その時も、子供ながらに猛烈に腹が立って、作者はふざけてんのか?とあきれたことを覚えています。 こんなことしていいの?と子供心にかなり困惑しました。 「鉄壁なアリバイ! しかしなんと犯人は双子だった!!」と同じくらい許せない気持ちになりました。 彼女が最初に始めたトリックなんでしたっけ?
 もう人生の初期段階でそれだけ怒りを覚えたということは、私は「信頼できない語り手」というやつが生理的に受け付けず、常に語り手を信頼したい生き物なのだと思われます。語り手を想像して理解したり共感したいと思って一生懸命読んでいるので、どうか作者の皆さん、こんな混じり気無しの私の信頼をあんまり裏切らないで下さい!! 手品とかで騙されるのは大好きなんですけどね・・・。
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