THE X-CHAPTERS / Xチャプター

米国から本の話題をお届け

我らが安藤百福さんが英語絵本に! ヘンな日本が出てこなくて安堵『Magic Ramen』(Andrea Wang,Kana Urbanowicz)

 以前、以下の記事で、私の安藤百福さんへの深い尊敬を熱く語ったことがありました。
hyakunennokodoku.hatenablog.com
 いや、ほんと、安藤百福さんとか水洗トイレの発明者(S字パイプはこの人、タンクの浮きはこの人)とかは、もっともっと評価されるべきだと思いませんか!? トイレの人たちなんて日本語のWikiのページすらない。スティーブ・ジョブズみたいな人がもてはやされるのもわからないでもないですが、世界規模で考えるとiPhoneより水洗トイレ使ったりインスタントラーメン食べてる人の方が多いんじゃないかな。百福さんはジョブズと違って人間的にも素晴らしいし!! 人類貢献度に対して、世界的な知名度がいまいちすぎじゃなかろうか。
 でも、先日、近所の図書館の新刊書コーナーに、バーンと東洋系男性がラーメンどんぶりを持ち上げている表紙の絵本が!! 

Magic Ramen: The Story of Momofuku Ando

Magic Ramen: The Story of Momofuku Ando

  • 作者:Andrea Wang
  • 出版社/メーカー: little bee books
  • 発売日: 2019/03/05
  • メディア: ハードカバー
 こ、これは・・・百福さんの本だー!!と心の中で狂喜する一方で、湧き上がる不安、嫌な予感。きっとまた、「これはちょっとチガウだろうーー!!」という日本が書かれているに違いない。洋画に出てくる日本とか日本人がなんか変なのと一緒で、子供向けの本でもなんじゃこりゃな日本がよく出てきます。さし絵でよくあるのが、やっぱり中国と韓国と日本が微妙にミックスされちゃってるやつとか、「これっていつの日本?」っていうようなひどい服装だったり街並みや家屋が貧相だったりするやつとか。ちょっと見下してんの?と思ってしまうことも多いです。 文章だとなんとかごまかせるけど、絵って如実に日本という国の空気が理解されていないことが出ちゃうんですよね。
 しかし、この絵本は素晴らしかったです。変な日本出すなよ・・・出すなよ・・・とドキドキしながらページをめくりましたが、戦後の混乱期の描写なんかも悲惨過ぎず、一度も不快な気持ちになることがありませんでした。なんて素晴らしい絵なんでしょう!
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戦後の混乱期、屋台のラーメンを待つ人の行列のページの一部
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百福さんラーメン完成で歓喜の絵の一部
 というか、この溢れる日本リスペクトと日本の空気への完璧な理解力、これは・・・これは・・・日本人にしか書けません。このイラストレーターさんは日本の方ですね? 名字が外国のお名前なので、ご家族に外国にルーツを持つ方がいらっしゃるのだろうとは思いますが、ご本人はちゃんと長く日本に住んでいる日本人の方なんだろうなあとお察しします。日本人以外にはこのレベルは無理です。 一瞬、アメリカにもこんなに日本を理解しているイラストレーターが出てきたのかと喜びかけましたが、いやいや日本を表現するのはそんなに甘くない。 
 でもほんと、日本のことを題材にしている本はこうやって日本人のイラストレーターにすべて依頼すればいいんじゃないの、と思います。それが一番! 日本の漫画家の画力は世界遺産レベル。絵本なんてちょちょいのちょいで描けちゃうのでは? そういや、この絵本のレビューで「イラストがMangaみたい!ゴージャス!」って書いてたアメリカのお母さんもいたっけ。「日清食品の宣伝絵本?」って書いてた人もいたけど。 
 餅は餅屋、日本のことは日本人に!  アリアナ・グランデちゃんも、タトゥー入れる前に私に電話を一本くれればよかったんですよ! そしたら止めてあげたのに!! (※アリアナ・グランデちゃんの七輪事件?を知りたい方はこちらの冷泉彰彦さんの記事で) 
 今回こんなふうに、英語の絵本でKana Urbanowiczさんに出会ったように、日本の素晴らしいイラストレーターやアーティストを英語の本を通して知る、という逆輸入体験みたいなのが増えるといいなと切に期待しています。