THE X-CHAPTERS / Xチャプター

米国から本の話題をお届け

バラク・オバマ元大統領の2019年お気に入り本リスト

 毎年末恒例、オバマさんによるその年のお気に入りの本のリストが発表されました。 全17冊+スポーツファン向けにおまけ2冊。結構私が読んでる本が多くて嬉しかった・・・わけはなく、まったくもって一冊も知りません!
 タイトルと著者名を見てもなんのこっちゃなので、一挙19冊、簡単に調査して解説を載せました。
 1)の書籍紹介を読んでいる時は、こんな難解なのが延々と続くのかとうんざりしましたが、意外や意外、普通のフィクションも多いんですよね。サイエンスやテクノロジー、経済に関する専門書などが一冊も入っていないことが少しびっくり。オバマさんの興味は「人間」なのでしょう。人が好きなんですね、きっと。金とか科学とかより。

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オバマ元大統領の2019年お気に入り本リスト、インスタグラムより

1) "The Age of Surveillance Capitalism: The Fight for a Human Future at the New Frontier of Power" by Shoshana Zuboff

 2019年1月刊。ハーヴァードビジネススクールの女性学者さんの著作。タイトルを直訳すると「監視資本主義の時代ー権力の新領域における人間の未来のための闘い」という感じか。本の紹介ページや目次を何回読んでもどういう本かよくわからない。多分、デジタル技術で個人の行動が予測・修正される社会の脅威に関する本。Surveillance Capitalism(監視資本主義)は著者の造語。私だったら、読み始めて5分でぐっすり眠れそうな本。


2) "The Anarchy: The Relentless Rise of the East India Company" by William Dalrymple

The Anarchy: The Relentless Rise of the East India Company

The Anarchy: The Relentless Rise of the East India Company

 2019年9月刊行。タイトル直訳:『無秩序ー東インド会社の無慈悲な隆盛』。題名通り、東インド会社がどうやって始まり、傍若無人の限りを尽くしたかに関する歴史学者によるノンフィクション。オバマさんよ、なぜ今、東インド会社?


3) "Furious Hours: Murder, Fraud, and the Last Trial of Harper Lee" by Casey Cep

FURIOUS HOURS

FURIOUS HOURS

  • 作者:CEP, CASEY
  • 発売日: 2019/05/07
  • メディア: ハードカバー
 アメリカ人作家ケイシー・セップの初著作。タイトル直訳『怒りの時ー殺人、詐欺、ハーパー・リーの最後の裁判』。アメリカ人にとって「学生時代に必ず読まされる」系の小説『アラバマ物語(To Kill A Mockingbird)』の一作のみでアメリカ文学史に名を残した女性小説家ハーパー・リーに関するノンフィクション。リーは、サリンジャーのように謎に包まれた生涯を送った作家だったようで、その謎の人生に触れつつ、アラバマの血まなぐさい奇妙な殺人事件(牧師の何年にも渡る保険目当ての連続殺人)も絡みつつ・・・と言った感じで、ノンフィクションながら「読み始めたら止まらない犯罪小説のよう」と皆さんのレビューも好評。これは面白そうだし読めそう。でも肝心の『アラバマ物語』、まだ読んでないんだった・・・。


4) "Girl, Woman, Other" by Bernardine Evaristo

Girl, Woman, Other: A Novel (Booker Prize Winner)

Girl, Woman, Other: A Novel (Booker Prize Winner)

 2019年11月刊行。英語長編小説に贈られる最高栄誉の文学賞のひとつ、ブッカー賞の2019年受賞作品。著者は黒人女性として初めてこの栄誉を手にした。英国を舞台に、様々な年代、バックグラウンド、セクシャリティを持つ12人の女性たちの人生が交錯するスタイルのフィクション。これまた面白そうな本。常々、オバマさんは女性の味方だとは思ってきましたが、こんな本を読んでまたまた女性層にアピールしてますな。


5) "The Heartbeat of Wounded Knee: Native America from 1890 to the Present" by David Treuer

The Heartbeat of Wounded Knee: Native America from 1890 to the Present

The Heartbeat of Wounded Knee: Native America from 1890 to the Present

  • 作者:Treuer, David
  • 発売日: 2019/11/05
  • メディア: ペーパーバック
 2019年11月刊行。アメリカの先住民オジブウェ族の一員としてミネソタで育った著者による、19世紀から現在までの先住民の葛藤が綴られたルポタージュでもあり回顧録でもあるノンフィクション。オバマさんらしいチョイス。


6) "How to Do Nothing: Resisting the Attention Economy" by Jenny Odell

How to Do Nothing: Resisting the Attention Economy

How to Do Nothing: Resisting the Attention Economy

  • 作者:Odell, Jenny
  • 発売日: 2019/04/09
  • メディア: ハードカバー
 2019年4月刊行。スタンフォード大学のアーティスト兼作家の先生による著作。24時間365日生産性やら向上を求められる社会で、「いかにして何もしないでいられるか」。現代社会の中で、資本主義の餌食にならずに自分の限られた時間とAttention(注意、注目)を何に向けるかに関する考え方が書かれたエッセイ集のような本らしい。ちょっとこの装丁は、男性が電車で読むのは恥ずかしいのでは。オバマさんは関係無いか。


7) "Lost Children Archive" by Valeria Luiselli

LOST CHILDREN ARCHIVE

LOST CHILDREN ARCHIVE

 アメリカ人女性作家による小説。ニューヨークからアリゾナまで、車旅行に出かけた四人家族の人生と、国境における「移民危機」(子供たちが拘留されてひどい扱いを受けている問題)が交錯する・・・といった小説。トランプ支持者が燃やしそうな本。タイムリーでまさに「2019年の小説」といった感じ。


8) "Lot: Stories" by Bryan Washington

LOT

LOT

 アメリカ人作家のデビュー短編集。著者の住むテキサス州ヒューストンを舞台に、様々な地域の様々な人々のドラマが描かれた14の短編小説が収録されている。これまた、どうやってこれを見つけたのか、どこらへんが気に入ったのか、オバマさんに聞いてみたいところ。この著者は選ばれてすごく嬉しいと思いますよー!!


9) "Normal People" by Sally Rooney

NORMAL PEOPLE

NORMAL PEOPLE

  • 作者:ROONEY, SALLY
  • 発売日: 2019/04/16
  • メディア: ハードカバー
 2019年4月刊行。アイルランド作家による現代のアイルランドを舞台にした二人の男女の愛と友情の物語。ブッカー賞最終候補というから、文芸よりの作品なのか? 2020年にHuluでドラマ化決定。オバマさん、こんなのも読むのね。オバマさんのソフトな面が表れているチョイス。


10) "The Orphan Master's Son" by Adam Johnson

The Orphan Master's Son: A Novel (Pulitzer Prize for Fiction)

The Orphan Master's Son: A Novel (Pulitzer Prize for Fiction)

  • 作者:Johnson, Adam
  • 発売日: 2012/08/07
  • メディア: ペーパーバック
 2012年1月刊行。やっとベストセラーランキングに載るようなのが出てきましたよ。ピューリッツァー賞フィクション部門受賞。北朝鮮が舞台!! 日本人拉致問題も作中に登場。結構難解な小説のようです。日本語版は多分これ↓ タイトル変わり過ぎていてこれじゃわからん。
半島の密使(上) (新潮文庫)

半島の密使(上) (新潮文庫)


11) "The Yellow House" by Sarah M. Broom

The Yellow House: A Memoir (2019 National Book Award Winner)

The Yellow House: A Memoir (2019 National Book Award Winner)

  • 作者:Broom, Sarah M.
  • 発売日: 2019/08/13
  • メディア: ハードカバー
 2019年8月刊行。ニューオーリンズ出身の女性ノンフィクション作家の初著作。彼女自身の人生の回顧録であり、ニューオーリンズの見捨てられた地域の人々の生の姿の実録でもあり・・・ハリケーン・カトリーナで無くなった彼女の生家である「黄色い家」は何を象徴しているのか? 作品紹介からはあまり面白さが伝わらず、読んでみないとわからないタイプの本。


12) "Say Nothing: A True Story of Murder and Memory in Northern Ireland" by Patrick Radden Keefe

SAY NOTHING

SAY NOTHING

 2019年2月刊行。北アイルランドの凄惨を極めた時代に関するノンフィクション。一人の母親の失踪を軸に、シリアスな内容ながらすいすい読める内容になっている様子。2020年1月2日現在、Amazon.comのベストセラーチャート第17位。売れてますね。このテーマで17位ってすごくないですか? オバマさん効果?


13) "Solitary" by Albert Woodfox

Solitary

Solitary

  • 作者:Woodfox, Albert
  • 発売日: 2019/03/05
  • メディア: ハードカバー
 2019年5月刊行。犯してもいない罪のために40年以上を悪名高いルイジアナの刑務所で、しかも独房で生きることになった黒人男性による回顧録。なぜこんなことが起こったのか? この方も11)の著者と同様、ニューオーリンズ出身です。そんなにひどいところなんだろうか? 不完全な社会システム、法システムへの生々しい問題提起がなされている本。


14) "The Topeka School" by Ben Lerner

The Topeka School

The Topeka School

  • 作者:Lerner, Ben
  • 発売日: 2019/10/01
  • メディア: ハードカバー
 2019年10月刊行。アメリカ人作家による半自伝的な小説。90年代のカンサス州トピカを舞台に、高校生のアダムを通して、家族の抱える葛藤、社会問題などが描かれている様子。アメリカ人でも「難解で読みづらい」とレビューしている人がちらほら。


15) "Trick Mirror: Reflections on Self-Delusion" by Jia Tolentino

Trick Mirror: Reflections on Self-Delusion

Trick Mirror: Reflections on Self-Delusion

  • 作者:Tolentino, Jia
  • 発売日: 2019/08/06
  • メディア: ハードカバー
 2019年8月刊行。ニューヨーカー誌等に寄稿している若手女性ライターによるエッセイ集。ネットやリアリティTVから宗教やドラッグ等々、現代の文化や生き方に関して若い世代の著者からの洞察が書かれた9編のエッセイが収録されている。娘さんに薦められた?


16) "Trust Exercise" by Susan Choi

Trust Exercise: A Novel

Trust Exercise: A Novel

  • 作者:Choi, Susan
  • 発売日: 2019/04/09
  • メディア: ハードカバー
 2019年4月刊行。同年のナショナルブックアワードフィクション部門大賞受賞。アジア系アメリカ人作家による小説。パフォーミングアート専門の高校の若者たちの物語。なにやら実験的な小説らしい。読者の著者に対する「Trust Exercise」になっている、ネタバレせずに説明するのが難しい、とのレビューが散見。


17) "We Live in Water: Stories" by Jess Walter

We Live in Water: Stories

We Live in Water: Stories

  • 作者:Walter, Jess
  • 発売日: 2013/02/12
  • メディア: ペーパーバック
 2013年2月刊行。アメリカ人作家ジェス・ウォルターによる12編の短編小説のコレクション。30年前に失踪した父親を捜しに故郷に戻った弁護士、家族の金を盗んだ子供が誰なのかを探偵のように調査する羽目になった労働者、ハリー・ポッターの新作を息子に買ってやるために金を集めるホームレス、などなど・・・。


ここからは、おまけで「スポーツファン向けお勧め本」も挙げていらっしゃいます。

18) "A Different Way to Win: Dan Rooney's Story from the Super Bowl to the Rooney Rule" by Jim Rooney

フットボールチームのピッツバーグ・スティーラーズの有名幹部ダン・ルーニーさんの息子さんによるビジネス自叙伝、回顧録。ダン・ルーニーさんはフットボール界に多大な貢献をした方のようで、そのバッググラウンドストーリーなどが、フットボールファンには面白い様子。日本だと、ナベツネさんのキャリアを追った本みたいな感じ・・・?

19) "The Sixth Man" by Andre Iguodala

SIXTH MAN, THE

SIXTH MAN, THE

  • 作者:IGUODALA, ANDRE
  • 発売日: 2019/06/25
  • メディア: ハードカバー
NBAのゴールデンステート・ウォーリアーズの選手による回顧録。


 オバマさんよ、お気に入り本は10冊くらいに絞ってくれ!! 多いよ。もしかして読んだ本全部気に入ってリストにいれてるんじゃない? 
 ちなみに、オバマさんのおすすめ音楽リスト、映画リストもあります。興味ある方はチェックしてみて下さい。

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