THE X-CHAPTERS / Xチャプター

米国から本の話題をお届け

意外!アメリカでは紙の本が結構売れてるんだって!!

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Image by Myriam Zilles from Pixabay

 本好きの皆さん!ちょっと意外なニュースを見つけましたよ。Good News Networkというポジティブなニュースのみを集めたサイトにこんな記事がありました。

「本を手に持つ喜びは時代遅れにならず:売り上げは5年連続の伸び」
www.goodnewsnetwork.org

 この記事によると、紙の本の販売数はアメリカ国内で2013年から5年連続で前年比で増えているとのこと。
 これは本当なのかと思って、他メディアで統計をチェックしてみました。以下のグラフは、Statisticaという統計サイトから転載しています。

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アメリカ国内における紙版の本の売り上げの年推移

 アマゾンがキンドルを初めてリリースしたのが2007年の年末。その数年後、最初は少なかった電子本のタイトルが爆発的に増え、その影響なのかなんなのか、2012年には上記グラフでも紙本の売り上げは落ちるところまで落ちています。
 しかし、2013年からは確かに確実に売り上げが徐々に戻ってきていますよね。残念ながら2019年には伸び率が前年比で少し下がっていますが、それでもこの統計サイトによると「かなり堅調」で「依然としてビジネスとして健康的」だそうで、この推移はすごく興味深いです。私はまたてっきり、紙の本の売り上げは凋落の一途かと思っていました。

 ニュース媒体や音楽業界の従来の様式がデジタルメディアに駆逐されている中、出版業界では「紙に印刷」というアナログ方式が堅調というのはマスコミにとっても意外なようで、CNBCのサイトの2019年9月掲載の記事「Physical books still outsell e-books — and here’s why(紙の本が電子本より売れているーこれが理由だ)」でもこの現象が考察されていました。
www.cnbc.com
 上記記事の要点を抜粋すると・・・

  • Association of American Publishersの2019年の年間リポートによると、紙本の売り上げは$22.6 billion、電子本の売り上げは$2.04 billion
  • Nielsen Book Internationalによると、紙本で強いジャンルは、自然、料理、児童書。一方推理小説、スリラー、ロマンスは電子本で読まれる。
  • 紙版の本の人気は、実は若い人の間で高い。ニールセンのデータによると、英国では、紙の本の売り上げの63%は44歳以下の人達によるもの。一方で電子本の売り上げの52%は、45歳以上の人の購入による。
  • 米国でのこの傾向は見られる。Pew Researchのデータによると、18歳~29歳の人たちの75%が2017年中に紙の本を読んだと回答。他の年代の平均67%を大きく上回る。

 専門家の談話として、英国のBook Seller's Associationの取締役のメリル・ホールズさんの言葉が掲載されています。「電子本バブルはちょっとはじけちゃって売り上げは横ばいになりつつある。紙の本は魅力的なんだと思う。出版社は豪華な装丁に凝って、紙の本をひとつの美しいオブジェとして売っている」 「本が好きな人は、読んだものを記録としてとっておきたい、飾って見せたいという気持ちがある」、というような本好きの所有欲が紙版の人気を後押ししているのでは、という分析でしたが、以下のもう一つの談話のほうがするどいと思いました。

It’s more than a decade since Amazon launched the Kindle, and for Halls, there is also a hunger for information and a desire to escape the screen.
アマゾンがキンドルを発表してから10年以上になる。ホールズさんによると、情報への渇望とスクリーンから逃げたいという強い気持ちが両方あると言う。

“It’s partly the political landscape, people are looking for escape, but they are also looking for information. So, they are coming to print for a whole, quite a complex mess of reasons and I think … it’s harder to have an emotional relationship with what you’re reading if it’s on an e-reader.”
「It’s partly the political landscape(←うまく訳せません、誰か教えて)、みんなスクリーンからの逃避を望みつつ、情報も欲しいのです。それで、そういう理由がごちゃまぜになって、紙の本に行くんじゃないでしょうか。それに、デジタル媒体で読んでいるものに感情的なつながりを持つのは難しいと思うんです。

 巷では本離れとかよく聞きますけど、CNBCの記事はロンドン・フックフェアのディレクター、ジャックス・トーマスさんという方の「人はいつだって知識と物語を求めるもの。出版業界の核になる部分はこれからも強いと確信している。どんなフォーマットであれ、本は将来も読まれるだろう」という力強い言葉で締めくくられています。

 本好きとしては、そうなってほしいなと思いますが、知識や物語はYoutubeやNetflixでも得られるんですよね。本を読むよりも簡単に得られる。それでもやっぱり紙に印刷された本を読むというのは、やっぱりみんな少しスクリーン疲れしているというのがあるのかなと思います。
 あとはやっぱり体にその習慣がしみついているというのもあるかと。子供のころから電子本読む子ってほとんどいないと思うんです。三つ子の魂百までじゃないですけど、多分10~12歳くらいまでは現代っ子だって紙の本を読んでますよね? 紙をめくって物語を追う、その動作が体に染みついていて、大人になってもふとそれが恋しくなってしまうのではないかと思います。 
 あとはビーチとかリゾートでのんびり本読むとき、あのスマホのちっちゃなスクリーンを見たくないとか? 紙の本のほうが非日常で贅沢な感じがします。
 
 かく言う私は、日本語の本はすべて紙で、英語の本はほぼすべてデジタル媒体です。どっちもいいところがあって捨てがたい。電子本は、明るさや文字の大きさ自由自在に調整できるし、寝っ転がって読めるし、場所とらないし。でも、読後に「読んだ」という満足感や幸福感がより感じられるのは、なぜかやっぱり紙の本なんですよね。確かにたまに無性に買いたくなります。その重さ、感触を味わいたくなります。紙の本には、不思議な魔法がありますね。太古の昔から人間のDNAには、紙の本を愛でる性質が組み込まれているのか? またその魅力の謎を探ってみたいと思います。

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