THE X-CHAPTERS / Xチャプター

米国から本の話題をお届け

世界のこんまりアメリカで新著発表 取材でときめきいっぱいのコロナウィルス・ダイアリー公開

 近藤麻理恵さんの新しい本『Joy At Work』がアメリカで4月7日に発売になります。

Joy at Work: Organizing Your Professional Life

Joy at Work: Organizing Your Professional Life

 今回の本はライス大学の心理学の教授との共著で、職場におけるこんまりメソッドの適用に焦点をあてている様子。
 稟議書や請求書なんて回って来てもときめかないのでシュレッダーへ、ときめかない雑用を頼んできたヤツには顔面パンチ、ときめかない上司は窓からポイ、ときめかない仕事は今すぐやめてときめく夢だけに向かって生きましょう、という画期的な内容・・・だったら買うんですが、発売前の各メディアでの宣伝や紹介を読む限り、至って普通の時間管理術・仕事効率術・仕事場整頓術本という感じです。

As Economy Is Upended, Marie Kondo Drops a Workplace Book - The New York Times

 メールの返信とか無駄な会議に費す時間を減らそう、みたいな。家の収納とか片づけに関してはこんまりさんのアプローチはアメリカでは貴重な感じもしますが、仕事場に関してはアメリカ人の効率の良さはすごいので、既に多くある類書とどう違いを成すのか、オリジナリティのある内容にするのが難しいんじゃないかなと思いました。余計なお世話ですが。
 コストコでも売り出されるみたいなので、ちょっとめくってみたいとは思います。どうせ仕事場も無くキッチンにパソコン置いてこんなの書いてる私にはまた関係無い世界なんでしょうが・・・。

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Costco会報誌『Costco Connection』より 仕事場でもSpark Joy☆
 アメリカでの快進撃が続く近藤麻理恵さんですが、今年2020年の3月以降に新著を発表した著者の例に漏れず、彼女も出版の販促キャンペーンがコロナショックで次々に中止になったかわいそうな方の一人です。代わりに電話やネットを使ったインタビューで販促している様子。

 その中の一つ、ニューヨーク・タイムズ誌の3月20日の記事「パンデミック中に近藤麻理恵はどうお片付けする?(How Marie Kondo Declutters During a Pandemic)」で、3月のコロナショックのさなかのこんまりさんの毎日が日記形式で公開されてました。これがなんというか、いろんな意味でまた議論を呼びそうなやつで・・・

Her children’s school has shut down, so she and her husband, who works as the chief executive of KonMari, are working from their home in Los Angeles and caring for their daughters, who are 3 and 4. (snip)

子供たちの学校が休校となり、近藤麻理恵と「KonMari」の最高経営責任者である夫はロサンジェルスの自宅で3歳と4歳の娘の面倒を見ながら仕事をしている。(中略)

I corresponded with Ms. Kondo this week, with the translation help of Kay Amano, the director of publishing and corporate planning at KonMari Media.

今週、私(記者)は、KonMariメディアの出版と経営企画の責任者であるアマノ・ケイに通訳を手伝ってもらいながら近藤さんとやり取りした。

 新著を上梓すると本の宣伝や紹介のためにこうやっていろんなメディアに出るわけですが、このニューヨーク・タイムズの記事はもしかして嫌がらせ・・・?ではないですよね・・・? こんまりさんの広報もこれでいいと思って出しているわけですが、なんか炎上商法なのかと思うほど、すごい浮世離れ感が漂っています。
 

月曜日
午前6時半 まず最初にやったのはお香をたいて空気をきれいにして家の空気とエネルギーをきれいにすること。庭に出て少しストレッチしてレモンを数個とり、ホットレモンをカップ一杯作って、瞑想して一日を始めました。私のオンラインショップではセルフケア商品を販売し始めたばかり。私は(その中の)瞑想用のクッションを使っています。

午前7時 和風の朝食を家族のために調理し始める。土鍋でご飯を炊いて、昨晩作った野菜スープを温め、鶏手羽とブロッコリーの煮物などあと数品作りました。

 このあと月曜日のこんまりさんは、旦那様が食料を買い物している間歯医者に行き、あとはビデオクリップを作ったりメールに返信したり夕方までお仕事されますが、詳細省略。火曜日もこれまた素敵で・・・

火曜日
午前7時 起きてお香をたきました。私の日課。

午前7時半 土鍋でご飯を炊いて、昨晩の残り物を使ってごぼう、ニンジン、玉ねぎ、豆腐、しいたけの入った味噌汁、納豆、食用菊の胡麻和えを作りました。

午前8時半 週一のヨガレッスンの時間

午前9時半 家事を終える。洗濯と台所の掃除。ラナンキュラスが見ごろなので、水切りし家中の花瓶に生けました。家で過ごす時間が長い今みたいな時なんかはとくに、こういうことでときめくんです。

午前10時半 オンラインミーティングがいくつか。私のスケジュールやこれからのプロジェクトに関して話し合いました。

以下省略

 まあ、こんな感じで月曜から木曜まで、凝った食事を手作りして、お香たいて、庭からレモンもいでお花飾って、在宅でも充実したお仕事・・・という素敵な生活を大公開していらっしゃいます。

 とても同じ血の通った人間とは思えません・・・。

 まあ、実際同じ血は通ってないんですけど。
 どうしてこんなに余裕で素敵でいられるんでしょうか。この取材は3月半ばくらいとしても、ロスの学校が休校になって厳戒態勢に入っている時なのですが(日記の中で日課の散歩を外出規制で諦めた箇所も出てくる)、違和感を感じずにはいられないふわふわ感。別段アンチこんまりではなく単に無関心なだけのポジションの私ですら、今の殺伐とし不安に満ちたアメリカでこんなお花畑な日常大公開して大丈夫かなと思っていたら、案の定コメント欄が大荒れでした。

Hilarious! Reads like finely-curated satire. Thanks for the laughs I needed today.
おもしろい! すごいよく書かれた皮肉として読んだわ。今日の笑いをありがとう!

Marie Kondo reminds me of pet rocks. Their genius is taking some inane, trivial thing, and advertising it as something so unique and clever that it convinces millions to buy their products.
近藤麻理恵ってペットロックを思い出す。意味無いどうでもいいものをすごくユニークで賢いものとして宣伝して、何百万人にも買わせる天才だよ。

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PetRock.comより
Marie is fast becoming clutter.
麻理恵はどんどんがらくたになりつつあるね。

 
 アンチコメントで溢れた中にも、1割くらいは「この記事の良いところだけ見ましょうよ、麻理恵は何も間違ったことは言っていないわ」「私たちみんな家にいなくちゃいけないんだから、もう料理しない言い訳はできない、麻理恵は体にいいものをたくさん作っていてすごい」と、これ書いた人性格いいんだろうなあというコメントもありましたが・・・

 やっぱりね。みんな怒るよ。子供いるのに家から働かないといけない人がいっぱいだし、そうじゃない人だって不況でクビになるかとビクビクしてるし、今アメリカは不安とストレスでいっぱいだもの。
 片付けや「きちんとした生活」の教祖様が、小さなことで右往左往してとっちらかったマインドだったらそれもまた矛盾ですが、こんまりさんも人間。ここまで完璧にこんまりを演出しなくても(演出、演技しているように私には見える)、少しは弱さを出した方が著書も売れるんじゃないかなあ。

 とはいえ、ニューヨークタイムズ誌の書籍関連の記事で、あんなにコメントが集まっているのを初めて見ました。好き嫌いは置いておいて、こんまりさんが皆の無視できない存在であることは確かということかと。これはすごいこと名誉なことです。なかなかできることではありません。ここまで売れていると、アンチコメントなんて痛くもかゆくもないのかもしれませんね。
 
 私の人生はどちらかというと、「ときめくものに囲まれて暮らす」というより、「ときめかないものにいかにときめいて生きてゆくか」という人生なので、もともとこんまりメソッドのターゲットではないのだろうと思います。こんなの一日に何回も見て暮らす毎日ですからね。

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障害児用のトイレのやり方図表・・・ときめくのが難しい
 しかし、こんまりさんの記事に以下の部分はかっこいいなと思いました。

Clear your head. Be brave. Ms. Kondo writes of her qualms about creating her own social media accounts; she dreaded the trolling that would surely ensue.
頭をはっきり、そして勇気を持って。近藤さんは、ソーシャルメディアで自身のアカウントを作ることの不安について書いている。近藤さんは、必ずいるであろう「荒らし」を恐れていたのだ。

When a therapist tells her, “Don’t worry, Marie. Plenty of people hate you already,” she Googles herself.
セラピストが近藤さんに「心配要らないわよ、マリエ。あなたもうみんなに嫌われてるから」と言った時、近藤さんはグーグルで自分の名前を検索している。

After her website and blog, the highest ranking article she found was: “Why We Hate Marie Kondo.”
自身のウェブサイトとブログのあとに見つけた検索の高順位記事は、「なぜ我々は近藤麻理恵が嫌いなのか」。

“Too often we clutter our minds with our biggest fears,” she writes.
「私たちは一番恐れていることで心を乱され過ぎなんです」と近藤さんは書いている。

 まあ、著書の中でのこの文章の前後が不明なのでどう解釈していいのかわかりませんが、とにかくこんまりさんは自分が嫌われていることなど重々承知、それでも勇気を持って自分を貫きたいということかなととりました。「皆が私を嫌うのは片付けることが怖いから」ともとれますね。このハートの強さ。こんまりさんは間違いなくアメリカでやっていける。

 近藤麻理恵さんの片付けメソッドにはあまり学ぶものは無さそうですが、彼女の心の強さは欲しいなと思います。
 
 あと、3歳と4歳の娘さんがいてもすっきり片付いてる人生を送れる秘訣、そのへんをもっと本にして下さい。もしかして、片付けの教祖とそのビジネスパートナーの子供は遺伝子的に頭すっきり系で、子供の頃から散らかさないの? そうなの? 親の仕事邪魔したりもしないのかな。

 ふう・・・・・・片づけるか。

参考記事:
www.nytimes.com
As Economy Is Upended, Marie Kondo Drops a Workplace Book - The New York Times

blog.the-x-chapters.info
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