THE X-CHAPTERS / Xチャプター

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ついにコロナウィルスが官能ロマンス小説に! くだらなさで話題騒然『Kissing the Coronavirus』(By M.J. Edwards)

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(Amazon.com 商品紹介ページより)

彼女はコロナの特効薬を開発するはずだった。
そのかわりに・・・愛してしまった。
ー(中略)ー
『Kissing The Coronavirus』は、許されぬ愛と暗い欲望を叶えるエロティックな物語。
M.J.Edwardsのデビュー小説であり、失業後の生活費の支払いのために書かれた。Twitterは@MJEdwardsAuthor


She was supposed to cure the Coronavirus.
Instead... she fell in love with it.
(snip)
Kissing Coronavirus is a steamy tale about forbidden love and dark desires come to life.
The book is M.J. Edwards debut book, and is her attempt at trying to pay the bills following her job loss. Check her out on Twitter @MJEdwardsAuthor


 ネットのいろんな媒体で話題になっているエロティカ(セクシー系ロマンス小説)です。たったの16ページ、電子版は米国アマゾンで99セント(99円)。Kindle Unlimitedメンバーは無料。

Kissing the Coronavirus (English Edition)

Kissing the Coronavirus (English Edition)

 発売日は2020年4月22日となっていますが、やはりソーシャルメディアで「そんなくだらない小説が実在するのか?」と話題になったのが大きかったのか、2020年11月現在毎日レビュー数が伸び続け、11月9日現在ついに400レビューを達成。
 
 平均的なアマゾンのレビュー率(商品の売り上げ数:レビューの数)は、1-2%ということなので、低く見積もっても「レビュー数x100」以上は売れているということになり、99円xレビュー数400x100=396万円、もしかしたらその倍くらいの売り上げがあったということになる。すごい! これはやったもん勝ちですね。

 ダメラボ(id:imbroke)さんも、官能文学賞に応募しないで直接電子版売っちゃえばよかったんじゃあない? 結構電子出版自体は簡単にできるみたいですよ。
 文学賞に公募されたダメラボさんが悔しい思いをされた興味深いお話はこちら↓
www.imbroke-s.com

 だがしかし、「私もエロ小説をアマゾンで売ろうかな~」と思ったあなた。
 
 この『Kissing the Coronavirus』レベルのものを書くのは、やっぱり難しいかもしれません。
 だってだって・・・死ぬほどくだらないです。ここまでくだらないものを書くのってかえって大変なんじゃないかと。
 この本が星の数ほどある米国アマゾンの電子出版の中でここまで成功した理由は、「これほどひどい本を堂々を書いて堂々と売る人がいなかった」、これに尽きるのではないかと思います。

 有意義な人生を送られている忙しい皆様のために、私が代わりに読んで差し上げたので、あらすじをご紹介します。

 アレクサ・アシントンフォード博士は、コロナウィルスの特効薬だかワクチンだかを開発するチーム(作者はワクチンと特効薬を混同している様子)で重要な仕事をしつつも、性的に満たされたない不満を感じ続けていた。

 人類に猛威を振るうコロナウィルスの感染力と、自身の好みであるたくましい男性とのワイルドな情事とを重ね合わせ、次第にコロナウィルスの持つどう猛さに惹かれるようになってゆくアシントンフォード博士。

 そんなある日、研究チーム内のガートリーチャンド博士が、ウィルスが混入している未完成のワクチンを目の前で彼自身に注射してしまう。

「今まで黙っていたが、私はコロナに感染している。もうこうするしかないんだー!!」

 それまで、肉体的に男性的な魅力を感じることがなかったガートリーチャンド博士は、みるみるうちに変容し、緑色の肉体を持つアシントンフォード博士好みのたくましい男性に。

「ガートリーチャンド博士! 何が起こったの!?」
「彼はもういない・・・私は彼を食い尽くした・・・」
「あなたの名前は?」
「Covidと呼んでくれ」
「こっちに来ないで!」
「大丈夫は、君にはもう免疫がある。自覚症状が無いだけで感染していたんだ」
「ガートリーチャンド博士は私のせいで死んだのね・・・」

 後悔の涙がアシントンフォード博士の頬を伝う。そして、その涙をやさしくぬぐう緑の指・・・。

 (ここからは、よい子の皆さんが読んでいるといけないので早送りさせていただきます。)

 Covidとアシントンフォード博士は、あんなことやこんなことをして、

「こんな感じは初めて・・・これが愛なのね・・・」

というお約束の境地へ。
そして、Covidの腕の中、荒れ狂う愛の嵐に疲れたアシントンフォード博士は眠って眠って眠って、そしてそのまま・・・眠り続けた・・・・・・完!!!


・・・・・・という小説です。

 笑いました。あらすじもくだらないですが、使われている表現もかなりくだらなく、徹底的にバカを貫いています。創作の世界は自由ですね、ほんと。

 しかし実際にコロナで毎日毎日たくさんの人が命を落としている中で、こんなものを出版したり、面白がって読んで笑っていいのかとももちろん思います。笑いものにしていい題材と悪い題材と言うものがあるので、これもかなり微妙。

 ただ、昨日、心理セラピストのロリ・ゴットリーブさんがラジオに出演して、「パンデミックで皆が大変な思いをしている中、喜んだり幸せを感じていいのだろうか、例えば、毎日会社に通わなくて済むようになって嬉しいな、とかそうやってパンデミックの結果起こったことを喜ぶことは悪いことだろうか」
という問いに、「喜びを感じることに罪悪感を感じる必要など無い、小さなことにも喜びを見つけてほしい」とも答えていらっしゃいました。

 コロナで家族を亡くした方に薦めたりするのは言語道断だけど、一人密かに楽しく読むくらいはいいのかも。もうアメリカのコロナの状況は笑い飛ばすくらいしかできないところまで来てますからね・・・。日本はこのまま踏みとどまって欲しい。

 今日は、ファイザーのワクチンがテストで治験ボランティアの90%に効果を示したというニュースもあったし、皆さん、あともうちょっとの辛抱かもしれないので、なんとか乗り切りましょう。

 あ、ちなみに、この小説の作者の新作は、
Penetrated by the President's Twitter Feed(大統領のTwitterフィードに貫かれて)』
だそうです。
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