THE X-CHAPTERS

米国から本の話題をお届け

本棚探偵、再び! 河野太郎大臣、シュワルツェネッガー氏など

 しょっぱなから色々と不穏・不安な2021年。

 ここはやはり他人の本棚への飽くなき好奇心を追求することで、暗い現実から目を逸らすしかない。ということで、2021年、本棚探偵始動!

 前回の本棚探偵は一挙9名で盛りだくさん過ぎたため、今回からは(まだまだやる気です)少し人数を絞りたいと思います。
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 まずは、前回調査時、それほど誰も気にしていないのに今回まで引っ張った、
「ティム・クックとジャスティン・トルドーの本棚の両方に鎮座していた謎の本」

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左:ティム・クックの本棚から、右:トルドーの本棚から

 バーンズ&ノーブルの「US History」の棚で発見したそれは・・・

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本屋にあの背表紙があった!!
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『Leadership: In Turbulent Times』という本だった

ドリス・カーンズ・グッドウィン著
『Leadership: In Turbulent Times』

という本でした。

Leadership: In Turbulent Times

Leadership: In Turbulent Times

 「激動の時代におけるリーダーシップ」・・・か・・・。
 ティム・クックもトルドー首相も、リーダーとしての自分を意識して、真面目に学ぼうとしてるんですね。なんかそのまんまっていうか・・・真っ当過ぎる。ここはひとつ、「実はマンガだった!」とかいう意外性が欲しかった。ちょっと残念。
 『Leadership: In Turbulent Times』は、2019年10月刊行のノンフィクション本。著者のドリス・カーンズ・グッドウィンは日本では『リンカーン 』(スピルバーグの映画『リンカーン』の原作)、『フランクリン・ローズヴェルト』などが翻訳されているアメリカ人女性歴史学者、伝記作家、スポーツジャーナリスト。1995年、『The Home Front in World War II』でピューリッツァー賞歴史部門受賞。『Wait Till Next Year(来年があるさ)』という自身の野球マニアっぷりを綴ったベストセラーのエッセイ集の著者であるのも興味深い。 『Leadership: In Turbulent Times』は、著者のこれまでの仕事の集大成みたいな本で、リンカーン、セオドア・ルーズベルト、フランクリン・ルーズベルト、リンドン・ジョンソンという4人の大統領のリーダーシップの事例が分析・比較されている。彼らのリーダーとしてのアイデンティティは幼少期からどのように形成されていったのか、どのような過程を経て周囲に「リーダー」と認められるようになったのか、混乱の時代にどのようにリーダーシップを発揮したのか。読者の評価も高い本。
 私も将来部下にリーダーシップをとってちゃんとチームを率いるために読んでおかないと・・・・・・。その前に職を探さないといけないか。

 それでは、ここから、今回の本棚探偵に入ります。

河野太郎大臣

 Twitterでのおもしろ発言が国際的にも注目されている河野大臣。
 1月7日の大臣のTweetに、机に置かれた本が写り込んでいたので、「本棚」ではないですが捜査させていただいた。


 欧米のセレブリティたちのように、本棚を見て見てと言わんばかりにその前にご本人が立って喋っているというケースではないので、なんとなく本を調査・確定するのにものすごく罪の意識を感じた。大臣、なんか勝手に調べてごめんなさい・・・。ヤバかったら、いつもの「ヤメレ」をお願いします! 消しますから!!

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河野太郎大臣の(おそらく)お仕事机より

① 『The Ship (邦題:巡洋艦アルテミス)』(by C. S. Forester)

The Ship (English Edition)

The Ship (English Edition)

 1943年発表のイギリスの小説家セシル・スコット・フォレスターによる小説。古い!古過ぎ! 紙版は、古すぎて現在入手困難。どこで手に入れた?河野さん。
 この小説は、作者の定番の海軍・海戦が出てくる冒険小説もののひとつ。Wikipediaによると「第二次世界大戦の海戦もの。地中海における、イギリス海軍とイタリア海軍の戦いを描いている」小説だそうです。
 日本語版はこちら。こちらも古本か電子版でしか手に入りません。


② 『ソ連軍〈作戦術〉』(デイヴィッド・M. グランツ著, 梅田 宗法 翻訳)

ソ連軍〈作戦術〉

ソ連軍〈作戦術〉

 ソ連・・・久しぶりに聞きました・・・。しかし、書籍の方は2020年10月翻訳刊行の新しい本。その名の通り、建国期から冷戦期までのソ連軍の戦術や武器の研究書。元防衛大臣らしい選書。


③ 『Black Garden: Armenia and Azerbaijan through Peace and War』(by Thomas de Waal)

 英国人ジャーナリスト、トマス・デ・ワールによる2003年の著書の改訂版。著者のデ・ワールはコーカサス地方が専門分野で、本書はアルメニアとアゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ戦争の背景や影響に関するノンフィクション。現代史、政治分析、著者が実際にその地を旅した経験を綴った旅行記から成る。

④ 『The New Map: Energy, Climate, and the Clash of Nations』(by Daniel Yergin)

 2020年9月刊行、『The Prize(邦題:石油の世紀)』で1992年にピューリッツァー賞を受賞したアメリカ人ノンフィクション作家、エネルギー問題の専門家、経済史研究家であるダニエル・ヤーギンの新刊。現在地球上で起こっているエネルギー革命、気候変動が世界各国にどのような影響をもたらしているか、地政学的に考察・解説している本。

⑤ 『The Seige』(by Russel Braddon)

The Siege

The Siege

 これまた古い!どうしてこんな古い本を!! 1969年刊行のラッセル・ブラッドンによるノンフィクション。古いし結構マイナーな本。今世界に何冊現存しているのか?? 古過ぎてどういうノンフィクションなのか調べるのが難しかったけれど、第一次世界大戦のイギリス軍とオスマントルコ軍のクートの戦いに関するノンフィクションということがわかった。
 著者ラッセル・ブラッドンは、オーストラリア出身、第二次世界大戦で日本軍の捕虜になる経験を経た後イギリスに移住し作家となった小説家。フィクションとノンフィクションの両方で作品を残し、日本では、あのあまりにも有名なテニスの試合の最高峰ウィンブルドンを舞台に、スポーツ小説とサスペンス小説を融合させたと名高い『ウィンブルドン』が邦訳出版されている。こっちのほうが面白そうよ、河野さん。
ウィンブルドン (創元推理文庫)

ウィンブルドン (創元推理文庫)

ジョージア二人衆

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ラファエル・ウォーノックとジョン・オソフの本棚

 日本の皆さんには「誰やねん」な二人だと思いますが、この二人はアメリカ、特にジョージア州では知らない人はいないのではというくらい有名になってしまいました。今、大人気のお笑いコンビ、ウォーノック&オソフです! というのはもちろん嘘で、先週1月6日に決選投票を制してジョージア州から選出されたばかりの上院議員です。
 この二人が選挙に勝つと民主党が大統領のポジション、上院、下院のすべてを支配するトリプル・ブルーが達成され、新大統領のもとで民主党の立法が容易になる。対する共和党としてはなんとしても阻止したい体制。アメリカのこの先の数年の未来がかかった選挙でした。
 ウォーノック牧師もオソフさんも彼らの対立候補も全国から空前の額の献金(と脅迫)を受けながら、大接戦を繰り広げた結果、二議席とも民主党がとり、元奴隷州であり保守州の南部ジョージア州から初の黒人上院議員、ユダヤ人議員(しかも現上院で最年少の33歳)が誕生するという歴史的な選挙になりました。
 そんな死闘を制した両議員の本棚の捜査結果は以下の通り。(ウォーノック牧師は選挙の勝利演説映像から、オソフさんはMSNBCに出演時の映像から本棚を解析させていただきました)

① 『The Audacity of Hope (邦題:合衆国再生―大いなる希望を抱いて)』(by Barack Obama)

 オバマ本、来ました。2007年、まだ彼が大統領になる前の上院議員時代に書いた本。
日本語版はこちら。
合衆国再生―大いなる希望を抱いて

合衆国再生―大いなる希望を抱いて

「オバマのキャンペーン本」と化していて、最初の自叙伝『Dreams from My Father(邦題:マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝)』のほうが文学的にはずっと上・・・らしいですよ、ウォーノックさん。
 
② 『Daring Greatly(邦題:本当の勇気は「弱さ」を認めること)』(by Brené Brown)
本当の勇気は「弱さ」を認めること

本当の勇気は「弱さ」を認めること

 ヒューストン大学のソーシャルワーク研究者であるブレネー・ブラウンの2015年の著作。この方は勇気、共感、人間関係性の研究の専門家で、2010年のTEDでの講演「傷つく心の力」が世界中で5000万回再生される人気動画となり、一躍有名に。「Vulnarability (ヴァルネラビリティ、弱さ)」という言葉を広めました。Netflixで特別番組「ブレネー・ブラウン:勇気を出して」も作られたようです。星野源さんも影響を受けたとおっしゃっていましたね。
 この本は、TEDの講演をもっと詳しくして一冊の本にしたもの。彼女の講演で興味を持った方におすすめ。

③ 『The Audacity of Hope (邦題:合衆国再生―大いなる希望を抱いて)』(by Barack Obama)

The Audacity of Hope: Thoughts on Reclaiming the American Dream

The Audacity of Hope: Thoughts on Reclaiming the American Dream

  • 作者:Obama, Barack
  • 発売日: 2006/10/17
  • メディア: ハードカバー
 しかも①と同じ本のハードカバー版!! どれだけこのオバマ本が好きなんですか!! ちなみに、このハードカバー版の日本アマゾンの商品紹介ページに載っているオバマと記者との一問一答、ちゃんと日本語に訳してあって内容も結構面白いです。どうやって執筆時間をとっているか、どんな本読んでるか、などの質問に答えてくれている。ジョン・ル・カレも大好きです!とか言ってますね。

④ 『Ghost Wars(邦題:アフガン諜報戦争 ─ CIAの見えざる闘い ソ連侵攻から9.11前夜まで )』(by Steve Coll )

 ここから、ジョン・オソフさんの本棚に移ります。オソフさんは、元ジャーナリストという肩書きらしく、本棚も魅力的。
 本書『Ghost Wars』は2004年刊行、2005年のピューリッツァー賞受賞作。日本語の副題がすべてを語っていますが、911はなぜ起こったのか、なぜCIAは防げなかったのか、というCIAの失政・失策を背景も含めて詳しく分析したノンフィクション。著者は、元ワシントン・ポスト編集局長のジャーナリストで、本作が二度目のピューリッツァー賞受賞というすごい人。

⑤ 『WALKING WITH THE WIND』(by John Lewis, Michael D'Orso)

WALKING WITH THE WIND

WALKING WITH THE WIND

 惜しくも昨年2020年に亡くなった公民権運動の偉大なレジェンド、ジョージア州の元下院議員ジョン・ルイスの自叙伝。2015年刊行。
 キング牧師と共に生涯に渡って黒人の権利向上のために戦ったジョン・ルイス、2020年は彼の名前を多く聞いた年であり、アメリカ国内では凄い存在感でした。あと半年生きていてくれたらなあ。ジョージア州初の「黒人の上院議員誕生」の瞬間を見て欲しかった・・・。
 ミレニアル世代のオソフがきちんと先代の運動家の人生を知ろうとしていることは大きな希望。ジョン・ルイスの思いは次の引き継がれていくはず。

⑥ 『Redeployment(邦題:一時帰還)』(by Phil Klay)

Redeployment (English Edition)

Redeployment (English Edition)

  • 作者:Klay, Phil
  • 発売日: 2014/03/04
  • メディア: Kindle版
一時帰還

一時帰還

 2014年全米図書賞フィクション部門受賞、元海兵隊員フィル・クレイのデビュー作。自身が従軍したイラク戦争、帰還後の生活の経験を元に一兵士の視点から様々な兵士たちの姿を描いた短編集。
 オバマ元大統領が2020年のおすすめ本に同じ著者の新作を挙げていましたね。

⑦ 『Edge of Eternity(永遠の始まり)』(by Ken Follett)

Edge of Eternity (The Century Trilogy, Book 3)

Edge of Eternity (The Century Trilogy, Book 3)

  • 作者:Follett, Ken
  • 発売日: 2014/09/16
  • メディア: Kindle版
永遠の始まり I (SB文庫)

永遠の始まり I (SB文庫)

 出た、ケンおじさん! 『大聖堂』シリーズで知られるイギリスの作家ケン・フォレットによる、2014年刊行の「100年三部作シリーズ」の最終作。激動の20世紀を舞台に繰り広げられる一大歴史大河ドラマ。一体頭の中のどこがどうなったいたらこんなのが書けるんだっていうスケール。娯楽性に富むものの、歴史フィクションとして勉強になる作品でもある。ノンフィクションとかビジネス書だけでなく、こういうフィクションも読む政治家、いいですよね。
 ちなみにケン・フォレットは、前回の本棚探偵で本棚を調査した一人。意外と庶民的(?)な本棚でびっくりした。

アーノルド・シュワルツェネッガー

 華々しい俳優のキャリアを経て政界進出し、カリフォルニア州知事を務めたシュワルツェネッガー氏。先日、過激派による米国連邦議事堂襲撃事件を受けて発表した7分間にわたるスピーチ動画(全文和訳はこちらで読めます)が大きな話題になりました。ナチスに魂を売り渡した結果に長く苦しんだ祖国オーストリアのこと、自身の生い立ちからの心の傷に触れながら、国民、特に自身も所属する共和党の党員たちに、嘘で人々を動かす側に加担したら行き付く先は制御不能な国家だぞ、ナチスみたいになるぞ、と真剣に訴えています。『コナン・ザ・グレート』の剣は撮影終了後に記念にもらえたんですね!
 しかし心打たれるスピーチではありますが・・・本棚が見えません・・・。
 ということで、シュワ氏のほかの動画も観てみたところ、昨年10月になかなかいい動画があり、そこから本棚をいただきました。こちらの動画「Arnold Schwarzenegger has a message to internet commenters」では、タイトル通り、ネットで見られる不寛容を危惧し、自身のキャリアは心を開いて他者の意見に耳を傾けることで良い方に転換した、と語っています。
 「知事時代は共和党からだけじゃなく民主党からも重要ポジションに人を置いた。みんなにとっての知事になりたかったから。
ボディビルダー時代はバレエダンサーが動きをコーチしてくれるっていうのを無駄だと思いつつ受けてみたら成績が伸びた。
悪役なんて嫌だったけど周囲の意見をきいて引き受けた『ターミネーター』は高く評価された。
もっとみんなもいろんな意見を聞いてみたらいいんじゃないかな」
と、やさしく語るシュワ氏。背後の本棚から二作、特定しました。

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アーノルド・シュワルツェネッガーの本棚

① 『Lincoln: Speeches and Writings 1832-1858』
『Lincoln : Speeches and Writings : 1859-1865』(by Abraham Lincoln, Edited by Don E. Fehrenbacher)

 1989年刊行のリンカーンの演説、書簡、著作集。本、というより永久保存版の資料集と言う感じ。共和党の偉大な星、リンカーン。そういえば、共和党内からも「リンカーン・プロジェクト」なる、共和党をリンカーンの時代のように国の分断をひとつにまとめる党に戻そう、というキャンペーンがありましたね。

② 『The Last Lion: Winston Spencer Churchill』(by William Manchester)

The Last Lion: Winston Spencer Churchill: Visions of Glory, 1874-1932

The Last Lion: Winston Spencer Churchill: Visions of Glory, 1874-1932

The Last Lion: Winston Spencer Churchill: Alone, 1932-1940

The Last Lion: Winston Spencer Churchill: Alone, 1932-1940

 イギリスのチャーチル首相の三巻に渡る2013年刊行の伝記。今年は、エリック・ラーソンのチャーチル本もすごく売れたし、チャーチルブーム? 前例の無い有事を切り抜けた首相というところが、混迷の2020年に再評価されたのか?

 シュワ氏の本棚の本は、「今読んでいる本」というよりも、①も②も、ちょっとインテリアとして映えることや、「自分はこういう人が理想だよ」ということをアピールしているように感じました。

ヨーヨー・マ

 ヨーヨー・マのYoutubeチャンネルを最近知りました。このチャンネルいいですね。コロナで演奏会があまりできないせいなのか、ヨーヨー・マが自宅から演奏してくれる動画がたくさんあり、本当にニコニコとカメラ目線で演奏していて、まるでヨーヨー・マがたった一人の観客である自分に一対一の演奏会をしてくれているような気持ちになれます。
 特に明るめの曲を演奏している時のヨーヨー・マがいい。ああ幸せ幸せ幸せ~音楽最高~という魂の喜びが顔から体からガンガン発揮されていて、こちらまでハッピーに。皆さんも心が沈んだ時は是非、ヨーヨー・マのYoutubeチャンネルをぼんやりと眺めて聴きましょう!
 そして、演奏の素晴らしさは私ごときが言うまでもないことですが、壁一面の本棚をしょっちゅう動画に登場させて下さるのも素晴らしい。今回は、元旦に演奏してくれた動画から本棚をいただきました。

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ヨーヨー・マ、2021年の元旦の演奏動画より

① 『The Black Count: Glory, Revolution, Betrayal, and the Real Count of Monte Cristo』(by Tom Reiss)

 2013年のピューリッツァー賞伝記部門受賞作。アメリカ人作家トム・レイスが『モンテクリスト伯』『三銃士』の作者アレクサンドル・デュマ・・・ではなく、そのお父さんのトマ=アレクサンドル・デュマの生涯に迫った一冊。フランス革命時代を生きた軍人であった彼の生い立ちやキャリアを追い、彼が息子デュマの創作にどう影響を及ぼしたかにも迫った内容。お父さんと息子で同じ名前、本当にややこしいからなんとかしてほしい。
 この本が置いてある棚は歴史に関するノンフィクション本がほかにもある。ヨーヨー・マは歴史に興味がある様子。

② 『Play It Again: An Amateur Against the Impossible 』(by Alan Rusbridger)

Play It Again: An Amateur Against The Impossible

Play It Again: An Amateur Against The Impossible

 英紙ガーディアンの名物編集長だったアラン・ラスブリッジャーによる2013年のノンフィクション。著者は、中年になってピアノに惹かれ、一年でショパンの難曲「バラード第1番ト短調」をマスターする、という不可能に思われる目標に挑戦する。本業では、アメリカ外交公電ウィキリークス流出事件を追いながら、時間を捻出し、様々なピアニストに会い、練習を重ねたクレイジーな一年で著者は何を見つけたのか?
 
③ 『With Your Own Two Hands(心で弾くピアノ―音楽による自己発見)』(by Seymour Bernstein)
With Your Own Two Hands (English Edition)

With Your Own Two Hands (English Edition)

 米国のピアニスト、シーモア・バーンスタインによるピアノ教本・・・というか、ピアノと対する時の心を説いた部分もあり、アマチュアから本格的な演奏をする人までピアノの教育者として伝えたいことを書いているという感じの本。ヨーヨー・マはピアノも弾くの? それともチェロの演奏や教育にもピアノと共通する部分が多いんだろうか。 日本語訳はこちら。

 以上、ヨーヨー・マの本棚でした~と終わろうとしたところで今、気付きました! NYタイムズの本棚探偵が先にヨーヨー・マの本棚で全く同じ本を捜査してやがった・・・。 これじゃ盗作になっちまう! くっ・・・ちゃんと自分で調べたのに!! やっぱこの三冊は見つけやすかったもんなあ。悔しい!

 悔しいので、別のヨーヨー・マの2020年5月の大学卒業生に向けた演奏動画からも!! こちらの動画も素晴らしく、全然どこも卒業していないのに卒業生気分になって涙が出ました。

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ヨーヨー・マの本棚その2

 
 残念ながらこちらの本棚は、資料とか教科書とか音楽の専門書が多く、一般書は少ない感じ。

① 『Listen to This(邦題:これを聴け)』(by Alex Ross)

Listen to This

Listen to This

  • 作者:Ross, Alex
  • 発売日: 2010/09/28
  • メディア: ハードカバー
これを聴け

これを聴け

 米国の音楽評論家アレックス・ロスによる評論のベスト選集。2010年刊行。クラシック音楽だけでなく、ボブ・ディランやビョークなども取り上げられている。

② 『Scales to Scalpels: Doctors Who Practice the Healing Arts of Music and Medicine』(by Lisa Wong)

 ヨーヨー・マご自身が序論を書いた本。ボストンのロングウッド交響楽団という医療従事者や医学生のみで構成された交響楽団の代表リサ・ウォン医師が楽団の歩みを振り返ったノンフィクション。音楽は彼らの医療の仕事をどう助けたのだろうか?

③ 『The Athletic Musician: A Guide to Playing Without Pain』(by Barbara Paull, Christine Harrison)

The Athletic Musician: A Guide to Playing Without Pain

The Athletic Musician: A Guide to Playing Without Pain

  • 作者:Paull, Barbara
  • 発売日: 1999/02/18
  • メディア: ペーパーバック
 2200人を超える交響楽団員とオペラ歌手が参加した国際会議で調査したところ、「76%が演奏に影響するなんらかの医学的な問題を抱えている」という結果が。そんなデータから始まる本書は、1999年刊行の理学療法士による本。ミュージシャンが怪我や苦痛に悩まされることなく長く演奏を続けるにはどうしたらいいのか、実践的な方法を紹介している。演奏時の姿勢から普段の生活(寝具や運転時の注意など)、効果的な運動や体操まで、まるでタイトル通りアスリートへの指導書のよう。

 全て紹介しきれませんが、②や③以外にも、音楽と医学、音楽と健康に関する本がほかにも見えた。ヨーヨー・マさんのその分野への関心の高さがうかがえる本棚でした。




 以上、人数を絞ったのに結局長くなった本棚探偵第二弾を終わります。

 皆さんもどこかで調査できそうな本棚に出会ったら通報よろしくお願いします。それでは第3弾でお会いしましょう。

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